新田ゼラチンダイレクト

わんコラム

第六回 犬の鼻と肉球

わんこ

不思議なタイトルですよね。
犬の鼻と肉球。

みなさんのわんちゃんの鼻と肉球、似ていませんか?
そう、黒くて硬くて、近くで見るとデコボコしていて。

今回は、わんちゃんの鼻や肉球についてのお話です。

鼻も肉球も皮膚

 鼻も肉球も皮膚です。
 皮膚には体温や水分調節の役割がありますが、環境中の刺激から体を守るバリアとしての役割もあります。

 皮膚は、背中側や外側面では厚く、お腹側や内側面では薄くなっています。また、被毛のない場所の皮膚は厚く、一方、被毛の多い場所では薄くなっています。外界からの刺激を受けやすい背中側や外側面では、被毛や皮膚を厚くすることでバリア機能を高めています。

 鼻も肉球も、体表で考えると外側であり、被毛がない分、厚い皮膚になっています。肉球は地面と接触し、体重を支え、歩行するときに摩擦が生じ、鼻よりもさらに厚い皮膚になっています。

 子犬の皮膚は薄いですが、成長につれて厚みを増します。鼻も肉球も皮膚ですので、同様に厚みを増していきます。皮膚は外側から、細胞が集まっている表皮と、その下に細胞が少なく結合組織が多い真皮という構造になっています。鼻も肉球も、この表皮と真皮ともに厚くなりますが、肉球では表皮の方がより厚みを増します。

犬

鼻(鼻平面)について

 犬は私たち人間よりも、匂いを嗅ぐことで、さまざまな物や状況の確認を行います。鼻は、より外界のものに触れる最先端の部分です。犬の鼻は、肉球ほど丈夫ではありませんが、黒くて厚い皮膚になっています。

 鼻の皮膚の凸凹した模様は個々で異なるため、私たち人間の指紋のように、犬は鼻紋によってそれぞれを識別することができます。犬の個体識別には、首の背側の皮膚の下に注射器でマイクロチップを埋め込む方法があり、専用の読み取り機を首にあてて確認することができます。鼻紋を利用した個体認証のサービスもあるようです。注射の必要はなく、スマートフォンなどで簡単に撮影、読み取りが可能になれば、今後、個体識別の方法として普及していくのかもしれません。

 犬の鼻の湿り具合は、健康のバロメーターといわれていますが、この分泌物は鼻の表面ではなく鼻の奥から流れてきた分泌物です。寝ている間は、匂いを嗅ぐ必要もなく、食事を摂取することもありません。体調が悪いと食欲も落ち、寝てばかりになるため、鼻が乾いていることが多くなります。鼻の湿り具合は一つの指標として考えましょう。

 鼻の穴のサイズはとても重要です。鼻は匂いを嗅ぐための入り口であり、呼吸器官の入り口でもあります。鼻の穴が狭いと、空気を吸い込むのに強い力が必要です。フレンチブルドッグのような短頭種(鼻ぺちゃの犬種)は、小鼻が内側に入り込んだような鼻の構造である外鼻孔狭窄になっている場合があります。私たちも小鼻を軽く抑えると、息を吸い込むことが大変なように、細くて狭い鼻の入り口から呼吸をするには、努力が必要になります。外鼻孔狭窄があると、その後、いびきもひどくなり、嘔吐のような消化器症状が出てしまう場合もあります。呼吸は休むことなく、常に行われます。外鼻孔狭窄では、正常よりも努力した呼吸が続いてしまいます。鼻の穴のサイズや呼吸の症状に気になることがあれば、動物病院に相談しましょう。

肉球(指球、足底球など)について

 犬の肉球として思い出されるのは、手足の指の裏にある肉球(指球)と、手のひら部分にある掌球や足の裏にある足底球ですが、手首や足首にも小さな肉球が存在します。

 肉球は、歩いたり走ったりする時だけでなく、立っているだけでも自分の体重により、地面から常に刺激を受けています。もし、この個所の皮膚が薄く柔らかいと、自分の体の重みに耐えられず、皮膚が赤く炎症を起こしてしまうでしょう。ここに動きによる摩擦が加わると、擦りむけてしまいます。こうなると歩くだけでなく、立つこともできなくなります。

 このため肉球は、刺激に負けないように皮膚の中で最も厚い構造をしています。その表面はザラザラしていて、歩いたり走ったりする摩擦を生みだします。またプニプニと弾力もあり、足を地面に着いたときにクッションの役割も果たしてくれます。

 肉球の強さは、日ごろの生活環境の影響も受けます。夏の散歩など、アスファルトの肉球への刺激が心配されますが、日ごろからそのような環境で散歩している場合、肉球は、より丈夫になっているため、いつもの散歩が原因で肉球に異常が生じることは、通常ありません。

 室内で過ごすことが多く、散歩の習慣もほとんどなく、肉球が柔らかいままの場合、夏場のアスファルトの上を歩くことは、危険かもしれません。また、わんちゃんと散歩コースの意見が合わない時など、リード(散歩紐)で引きよせるような散歩になってしまうと、肉球がすれてしまう場合もあります。散歩時のリードは必須ですが、お互い仲良く散歩しましょう。

 犬は上昇した体温を下げる場合には、人間のように汗をかくのではなく、口を開けて舌をなびかせる、パンティングという呼吸を行います。鼻と異なり、肉球にはエックリン汗腺があるため、汗をかくことができますが、体温を下げるためというよりも、滑り止めのような別の役割かもしれません。

鼻と肉球の食事について

 上記したように、鼻も肉球も皮膚であり、表皮と真皮から成ります。

 表皮は最終的に皮膚垢となって剥がれ落ちていく細胞の層からなり、一方、真皮は線維芽細胞のような細胞もありますが、血管や神経、そして多くの結合組織よりできています。結合組織中の代表の線維である膠原線維はコラーゲンでつくられています。

 鼻や肉球の皮膚がバリアのような役割を十分に果たすためには、この皮膚構造を健康に維持しなくてはいけません。

 犬の栄養の研究では、亜鉛の不足した食事やアミノ酸バランスの悪い食事によって、肉球の病変が生じた報告がありますが、この場合、肉球に限らず、他の皮膚も赤くなったり、炎症や潰瘍を生じてしまいました。総合栄養食のドッグフードとは、このような栄養素の不均衡のないフードです。総合栄養食ではないドッグフードによって、亜鉛欠乏性皮膚炎になってしまった実際の報告もあるため、食事内容は重要です。

 私たちと同じように、わんちゃんも年齢を重ねれば、それまでのような皮膚を保つことは難しくなってしまいます。加齢に伴い、潤いや弾力が低下してしまうのは仕方がありませんが、皮膚の役割であるバリア機能は、わんちゃんの生活の質(QOL)を保つうえで非常に重要です。衰えてしまったバリア機能を少しでも補うために、外側からも食事からも鼻や肉球を含めた皮膚のサポートを行い、バリア機能を維持するようにしてあげましょう。

 少し皮膚の話とはそれますが、上記した外鼻孔狭窄症やいびきがあり、太っているのであれば、体重管理も重要です。体の内側もたるみを減らすように食事管理してあげましょう。

見た目似ている鼻と肉球

 どちらも黒くて硬くてよく見るとデコボコしていますが、どちらも、外界からの刺激を受けやすい部分です。

 刺激に負けない健康的な鼻と肉球を保ちましょう。

 栄養状態、体の調子、病気の有無、そして年齢によって、鼻や肉球を含めた皮膚の調子は変化します。

 わんちゃんの鼻や肉球は、ガサガサになったり赤くなったりしていませんか?

 皮膚の調子から、栄養状態や病気の存在に気づくことができるかもしれません。

 鼻の先から足先まで、わんちゃん、見てあげてください。

監修 清水いと世